ノイマイヤーとアウエルバッハが贈る
21世紀版「エフゲニー・オネーギン」
ジョン・ノイマイヤーとハンブルク・バレエ団による、レーラ・アウエルバッハのバレエ第2弾が登場。今回はアウエルバッハの偉大な先達プーシキンの「タチヤナ」。
原作はチャイコフスキーのオペラで知られる「エフゲニー・オネーギン」。このバレエではオネーギンでなく、ヒロインのタチヤナの視点から描いています。ドストエフスキーなども、この小説の真の主人公はオネーギンではなくタチヤナだと述べていますが、ノイマイヤーとアウエルバッハも同意見でした。
「エフゲニー・オネーギン」のバレエはノイマイヤーの師ジョン・クランコが1965年に制作したものが知られていますが、その影響を全く受けず、むしろアンドレア・ブレートが演出したチャイコフスキーのオペラでの1980年代風解釈を参考にしたとのこと。
タチヤナはロシアの片田舎に住む多感な少女。ノイマイヤーは、この話で起こるすべての出来事が彼女の妄想に端を発するとしています。そのためチャイコフスキーもクランコも扱わなかったタチヤナの夢の場を中心に据え、熊をフロイト心理学の象徴のように登場させ、意外な結末となります。音楽の雄弁さも特筆で、原作はロシア人アウエルバッハにとって諳んじているうえ、自身の文才と妄想力で21世紀のプーシキンを再創造しています。
予想外なのがレヴァゾフ演じるオネーギン。ノイマイヤーはロシア・アヴァンギャルドの有名な画家ロトチェンコをモデルにしたとのことで、19世紀ロシアの虚無的な貴族の若者がスキンヘッド、裸にジャケットをはおったパンク風ファッションで登場します。
ボーナス映像は、ノイマイヤー、ブシェ、レヴァゾフが作品観や意図について語る興味深いもの。日本語字幕付きです。
収録情報
曲目・内容
レーラ・アウエルバッハ : バレエ音楽「タチヤナ」 (全曲)
[+ボーナス映像 : ドキュメンタリー「プーシキンへ帰れ」]
アーティスト(演奏・出演)
サイモン・ヒューウェット (指揮)
ハンブルク国立フィル
エレーヌ・ブシェ (タチヤナ)
エドヴィン・レヴァゾフ (オネーギン)
レスリー・ヘイルマン (オリガ)
アレクサンドル・トゥルシュ (レンスキー)
カーステン・ユング (N公爵)
ハンブルク・バレエ団
レコーディング
原作 : アレクサンドル・プーシキン
振付、舞台美術、衣裳、照明 : ジョン・ノイマイヤー
収録 : 2014年/ハンブルク国立歌劇場 (ライヴ)
監督 : E.モーリッツ
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